突然ですが、みなさんはこの一年で、どれだけの服を買いましたか?
その服は今後、長く大切に着るつもりでいますか?
先日に見た「THE TRUE COST」という映画は、ぼくがファッションについて考え直すきっかけになりました。
この映画は、ファッション業界の現状を事実のまま取り上げたドキュメンタリー映画で、無意識のうちに問題から目を閉ざすぼくら消費者に訴えかけるような内容のもの。
ぼく自身、流行っているファッションをしたいし安く服が変える店がありがたいと思っていました。
でも今では、ぼくらが服を買うまでにどのような背景があったのかを知りその価値観は少し変わっています。
H&M、ユニクロ、GAP、街ではどこにでも服が売っていて、欲しいものがあれば買う。それは今では普通なことだし、なによりオシャレをするのは楽しい。
一方で、服を生産する途上国の悲惨な状況は悪化し続けています。
服がぼくらのもとへ現れるまでに、いったいどんな背景があったのか、日本にいるとその現状を知ることはほとんどありません。
安いものを、大量に
現代で主流のファストファッションは、低価格の服を大量に生産し短いサイクルで販売するというもの。企業の宣伝で頻繁に流行りが移り変わることもあり、人々はたくさん服を買うようになりました。
低価格になっている理由は、生産地が低賃金の国へ移ったからです。
例えば、アメリカ製の服を着ているアメリカ人の割合は、20年間で95%から3%まで減ってしまったとそうです。つまり、服の輸入が急速に進んでいるということ。
低コストな服の生産は、バングラデシュやカンボジアなどの東南アジア諸国や中国が多くを占めています。
生産国で何が起きているのか
生産国で起きている問題は縫製工場の労働環境だけではありません。
材料の綿をつくる農業は、作物が遺伝子組み換えされ農薬が大量に使われています。そして農薬や汚染水は人体に影響を及ぼし、ガンや皮膚病が多発。奇形児が生まれることも少なくないそうです。
そして、縫製工場では多くの人が働いていますが、その労働環境はとても厳しい。低賃金で長時間なうえ、安全性もままなりません。
その象徴として、バングラデシュでは2012年に衣料品工場の火災で100人以上が死亡、2013年にも工場が崩壊して1000人以上が亡くなっています。その後デモや暴動も起きましたが治安部隊と争いになり、そこでも死傷者が出たそうです。
ぼくらが着ているもの
綿の農業地帯で多くの人が病になり、服の生産国では多くの人が血を流し、苦しんでいる。
ある労働者が言いました。「ここでつくられた服は、私たちの血でできたようなもの。そんな服をだれにも着てほしくない。」
でも、その服を着ているのが自分たちなんです。
ぼくたちは季節が変われば毎年のように、安価な流行りの服を買います。
テレビCMでもよくある方法が、「私は幸せ。なぜなら〇〇を持っているから」という伝え方。
商品は次々と入れ替わり、ぼくたちの所有欲を誘います。
そして、職を求める人がたくさんいる途上国に工場がつくられ、悲惨な労働が行われる。もはや、ぼくらの買う服のほとんどが途上国の苦しい環境でつくられたものなんです。
「今年は~な服が流行っていいる。」
そんな言葉を交わしながら何気なく服を買う私たち自身が、苦しむ生産者への加害者になってしまっているとも言えるのかもしれません。
最後に
前述したとおり、資本主義によるグローバル化で途上国は過酷な状況に陥っています。
では、改善するにはどうすればいいのか。
企業に対して批判する人もいるかもしれない。でも、表面的な部分にばかり目を向けるのは違うと思う。
まずは自分たちが変わらなければいけない。
「今の社会や途上国の現状を知ること、宣伝や流行りに左右されないで自分でしっかり考えること、そして自分たちの生活の裏にある背景を意識すること」
こうした意識をもつことで、気づかずに加害者になってしまっていたぼくたちは少しでも変わることができる。
そして、これらの考えはファストファッションに限らずそれ以外の問題の解決のおいても、大切な考えになるとぼくは思います。