きゅうまがじん

「旅と自然が好き」休学歴2年|中野陵さんの経験談

  「休学」あなたは興味ありますか?

大学生にとって休学は、興味がありつつも自分がやるのかと考えると、「う~ん…」と考え込んでしまうような選択じゃないでしょうか。

今回は「大学休学」をテーマに、2年間の休学を経験した中野陵さんにお話をうかがいました。

貴重な体験談をうかがった、約1時間。以前からの知り合いなのでゆる~い対談でしたが、「こんなに楽しいことができる」という気持ちの高ぶりと、「ここまで好きなことをやって大丈夫なんだ」と少し自分が安心するような心地がしました。

 

「旅と自然が好き」休学歴2年|中野陵さんの経験談

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高知県から北海道まで歩く 

__休学経験者のリアルな体験をおうかがいしたく、依頼させてもらいました。よろしくお願いします。

中野 陵(以下、中野)ゆるい感じではなしていい?インタビューチックはいややねん。 

 __もちろん構いません。さっそくですが、休学中はどんな活動をしましたか?

中野 そうだね。休学して、3か月かけて北海道まで歩いて、北海道の京極町で農業インターンを2か月経験して、またいろんな場所を回りながら高知に戻ってきた。それから海外に行くために4か月間アルバイトをした。これがめちゃくちゃ働いたんだよ。8時から20時と21時から3時で働いて、4か月で90万弱ためた。ハードすぎて2回倒れたんだけどね。それで1年目は終わり。

2年目はフィリピンに4か月行った後、インドネシア・マレーシア・タイ・ケニア・ウガンダ・ルワンダ・ドイツ・スウェーデンの順で短いところは3日くらい、長いところは4か月くらい滞在して回ったね。それで2年目の休学も終わり。

昨年度は復学して1年間勉強して、この春からはタイのベンチャー企業でインターン、という予定。

 

旅と自然が好き

__理学部で休学する人は珍しいですよね。

中野 昔から旅と自然が好きで、今は環境問題だったり、人と自然の共存というテーマに興味がある。だから、旅を通して自分の目で見てみようと思ったのが休学のきっかけだね。それで歩くのが好きだから、歩く旅に出ることにした。

それがめちゃくちゃ楽しいんだよ。日の出とともに目が覚めて、ぽつぽつ歩いて、暗くなってもういいやってなったら、そこらへんで寝る。みたいな。

荷物はバックパックを背負ってたけど、重くてアザができたから途中でリヤカーを買った。歩いていると、「お兄ちゃん何してんの~?」といろんな人が声をかけてくれて、お米をくれたり泊めてくれたり、助けてくれるひともたくさんいた。

__リヤカーを引いて町中を歩いてれば、それは驚かれますね。2年目の海外の旅は、世界一周を目指したんでしょうか。

中野 行きたいところに行こうと思った。ウーフーっていうサービスを使いながら、人と自然を追いかけていろんなところを回ったね。自然が好きだから、エコビレッジとかパーマカルチャーについて勉強した。今は途上国の農村に興味があるんだけど、それも、こうして人と自然をテーマに行動していたからだね。

__本当に自然と旅が好きなんですね。

小さい頃によく母親が川や山に連れていってくれて、自然が大好きだった。それから、知識がついてくると環境問題への関心が高まったんだよね。旅も、小さい頃からぷらぷらと歩いたり、知らない地を見るのが好きだった。

 

途上国の農村を発展させたい

__中野さんが実現したいことはありますか。

中野 大好きな自然を守っていくには、持続可能な人と自然の共存を考えることが大切で、そのアプローチとして途上国の農村が重要だと思った。というのもね、ぼくらの文化的な生活は、途上国の貧困の上に成り立っている部分も多いから。ファストフード、ファストファッションとかね。そして、そうした今の構造は自然へのダメージもすごく大きい。

だから途上国の未発達を改善して、途上国の都市と農村、途上国と先進国の関係を再構築することが必要だと思う。世界で起こる自然破壊の根本にあるのが途上国の未発達で、改善することで自然を守りたい。というのが実現したいことかな。

__休学期間に自ら学んで、考えが変わったことはありますか。

中野 農村の改善のために大切だと考えていたパーマカルチャーをイギリスで4か月学んだときに、正直いまいちだなと思った。理想を語っているだけというか、違和感を感じたんだよね。やっていることはすごく面白いんだけど、人と自然の持続可能な関わり方を考えたら、ソーシャルビジネスの要素も大切なんじゃないか。パーマカルチャーを学んだ体験から、そう感じたのはあるね。

__学ぶことで本質的な問題に気づけたのですね。これからの活動にもつながりそうですか。

中野 4月からインターンシップをするタイのベンチャー企業は、農村で栽培された作物を都市に向けて直送販売していて、効率的なフェアトレードを目指してる会社。途上国だと、マーケットに来るまでに、暑さや衛生環境の悪さもあって腐ることも多いんだよね。流通を整えることで、農村の発展にもつなげているいい会社だと思う。

それから、なんとなく東南アジアにはアグレッシブな雰囲気を感じていて、それが好きだからいくのもあるかな。将来的には、人と自然の共存へのアプローチとして起業したい。人と自然が上手くかかわる仕組みづくりと、それに必要な農村の発展に貢献したいなと。

__お話ありがとうございます。最後に、これから休学を考える大学生に向けて思うことがあればお願いします。

中野 う~ん…。割り切ることが大切だと思う。勉強、遊び、部活とかをなんでもやると、結局残るものは少ないんじゃないかな。だから、自分のしたいことはすぐに行動してみて、なにか好きなものに打ち込むといいと思う。それを見つける過程でいろいろと手を出すのはいいと思うけど、いやだと思ったらパッとやめる。いろんな理由をつけてなにもしないのだけはもったいないよね。

 

お話をうかがった人

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2013年高知大学理学部に入学し、1年次を終えて2年間休学。所持金3万円で歩き旅へ出発し、3か月かけて北海道に到着。北海道京極町にて農業インターンを経験。その後、4か月の準備期間を経て海外への旅に出発。フィリピン・インドネシア・ケニア・ドイツなど10か国以上を回る。2016年に復学し、1年間で卒論有資格単位を取り終える。文部科学省が実施するトビタテ留学JAPANの選考に合格し、2017年度はタイの農業ベンチャーにてインターンを行う。